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舞台美術なんかで、段ボールとかベニヤ板で作ったようなぺったんこの月を見たことありませんか。
・・・・
ありますよね!
あるはずだ。
あれって、よくよく考えたら、「なんで球で作ろうとしないのか?」っていうのが今日のテーマです。
意味わからないと思った人も、ピンときた人も、今日はそういう話ですので、どうぞお付き合いくださいませ。
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絵を描く人はよく解ると思うのですが、球体って見ている側から光が当たれば縁は影になるんですよね。

こんな風に。
でも夜空の満月ってこんな風に見えないですよね。
下記の画像のように見えるわけです。

「円を切って夜空に貼ったんか?」ってくらい球っぽくないんですよね。
色彩学会内の研究会主催の勉強会にて、大阪市立大学(現 大阪公立大学)の先生が教えてくれました。

月って再帰反射なんですって。
え~、やだ~、全然知らなかった~。
再帰反射(英:retroreflection)っていうのは、光を光源側に反射すること(注1)で、
例えば、暗闇の中で自分から再帰反射する物体に光を当てると、光を当てた自分から明るく見え、よく視認できるんですね。
そのため、道路標識なんかによく利用されています。
夜の車走行中に、再帰反射材でできた道路標識にヘッドライトが当たると明るく見えるので、
ドライバーにとって視認しやすいのですね。
ってことは・・・?
って話になりますよね!
というわけで早速試してみたいと思います。
まず、以下の材料を揃えます。
球
再帰反射塗料
一般的なペンキ(普通の反射と比較して確認したい場合)
筆かハケ
棒
「再帰反射塗料なんてどこで買えるの」と思われるかもしれませんが、メーカーのサイトで誰でも簡単に購入できます。
小松プロセスというメーカーさんです。
300gという使いやすい量から購入できる親切設計です。
価格は ¥4,895/300g。
ちなみに普通の白いペンキの場合0.7Lでおよそ¥2,000くらいで買えるので、結構高いですね。
色んな色が売られていますが、月を作りたくて、かつ1色だけ選ぶのであれば白色の購入がおすすめです。
リアルな月の模様を再現したいのであれば白色が必須だからです。
多少の混色であれば、アクリル絵の具やペンキを混ぜることができたので、白色1色を購入すれば十分でした。
意外と入手に手こずるのはむしろ球体ではないでしょうか?
どれくらいの大きさで再現したいのかにもよりますが、著者は、

じゅ、15センチくらいか・・・?
となりました。
取り回しを考えると軽い発泡スチロール素材が良さそうです。
15センチの発泡スチロールの球体と聞いて、「◯◯で買えるよ!」と即答できた方はなかなかのやり手です。
著者がまず思い浮かんだのは弊サイトで以前も紹介したことがあるSHEINです。
サイズも20センチくらいまではあるようです。
値段は様々ですが500~800円くらいあれば買えるのではないでしょうか。
著者もSHEINで購入したのですが、比較対照用も考え2つ入りで800円くらいの商品を注文したところ、
1つしか届きませんでした。
サイトのカスタマーサービスにもう一つ送ってほしい旨を問い合わせましたが、
もう在庫がないということで返金処理になりました。
こういったトラブルが起きやすいのが海外通販サイトのデメリットではありますが、
国内では簡単に見つけられないものが、お値打ちに買える利点があります。
結局、AliExpressで再購入することにしました。
検索してみると、1000円くらいで4つ入りが売られていたのでこちらを購入。
数日で無事に4つ届きました。
いずれにしても、SHEINとAliExpress、このあたりの海外通販サイトを探せば、
気軽に発泡スチロール球体を手に入れられると思います。
球体と塗料が手に入ればあとは簡単です。
ハケか筆で塗っていきます。
小松プロセスのサイトには専用下地が売られており、使用が勧められていますが、
発泡スチロールであれば、はじいたりすることなく塗装できました。

上の画像は、試作品として5センチの発泡スチロール球体に再帰反射塗料を塗ってみたもの(左)と無塗装の発泡スチロール球です。
無塗装の球(右)よりも再帰反射塗料(左)のほうが周囲の影が少なく、周囲の境界がくっきりしています。
どうやら平面的な『月の見え』を再現できていそうです。
では、本番行きます。
先の画像では再帰反射塗料をベタ塗りしましたが、これだけでは月を模しているとは言えません。
「ただの白い球やん?これがどうしたん?」とか言われそうです。
「月って再帰反射するじゃないですか~、それをね、再現したものなんですよ~。
ほらね、こうして光を当てるとね・・・」
などといっぱい説明することになり、
結局、『月の見え』の再現というテーマを理解してもらえそうにありません。
そこで、一目見て、「月やん。」と言われるような塗装をしたいと思います。
月というのは、これも皆さん周知のことかと思いますが、いつも私達地球人に同じ面を向けて公転しています(注2)。
つまり、月の模様といえば、『アレ』しかないんですよ。
あのうさぎが餅つき云々と言われる模様です。
あの模様を再現できたなら、地球人であれば「お、月やん。」となること間違いないのです。
というわけで月の模様、再現してまいりました。

左が再帰反射塗料、右が一般塗料です。
どうか画力がないのは許してください。


左が再帰反射塗料、右が一般塗料です。
光源は同じ懐中電灯なので、照射する光量は同じですが、一般塗料(右)がだいぶ暗く見えます。
また、周囲が影になっているのもわかってもらえるかと思います。
これは、思いのほか『月』ですね!
月の模型が作れたら、あとはスマホでサッと撮影して終わりだろうと思っていましたが、
その考えは甘かったです。
暗室が要る⇢クローゼットで撮る
スマホだと勝手に補正される⇢デジカメを引っ張り出してくる
カメラの設定を変えなくてはいけない⇢夜空を撮影するつもりの設定にする
まず、暗闇の中でないと再帰反射の効果がわからないので、暗いところで撮る必要があります。
カーテンを締めて部屋を真っ暗にしてもいいですが、まぁ、めんどくさいですね。
ということで、著者はウォークインクローゼットで撮りました。
背景はたまたま持っていた暗幕をクローゼット内の棚に引っ掛けることで暗闇を再現できました。
一番困ったのはスマホのカメラ補正です。
「暗いからちゃんと写らない⇢ソフトが補正する」という機能が勝手に働いてしまいます。
スマホで撮った一般塗料の月模型は勝手に補正されてこんな感じに撮影されます。

「自分で上からペンキ塗ったんか?」と思ってしまいます。
スマホで補正された画像は偽りだということがよくわかりますね。
反射の比較どころではありません。
結局、長らく使用していなかった古いデジカメを引っ張り出してくるしかありませんでした。
暗い中の撮影なので、デジカメでも普段の設定のまま撮ることはできませんでした。
あーだこーだいじりましたが、「もしかすると夜空の星や月を撮るつもりで設定するとうまくいくのでは?」と思いました。
著者はその辺り詳しくないのでわかりません。
とにかく、再帰反射機能付き月の模型の撮影はちょっとコツが要りました。
これでよくわかりましたね。
なぜ、月を作るときに球ではなくて平面で作るのか。
それは、再帰反射のせいで平面に見えるから、です。
いや~、でもね、一人くらいは居たと思いますよ、一人くらいは。
舞台美術で月が要るってなって、球で作ってみた人。
そしてがっかりしたはず。
「頑張ったわりに、見た目、全然、月っぽくないやん!」って。
あぁ、教えてあげたかったなぁ。
月を球で作るなら再帰反射塗料だよって。
小松プロセス、行かなあかんよって。
表面積は4倍(球の表面積は4 πr2、円の面積は πr2)になって、
塗料代も2倍以上(再帰反射塗料は¥4,895/300g、一般水性塗料はだいたい¥2,000/700g)になるし、
「平面で作ろ」ってなったやろな~。
あ~、教えてあげたかった。
(一般水性塗料の通販サイトのリンク、こちらに置いておきますね。今ならセールで¥701/700g!)
作成してみて実感したのは、恒星でもない月が夜空で明るく輝いて見えるのは再帰反射のおかげなのかもしれないということです。
再帰反射しない球は暗いし、模様もはっきり見えません。
月が再帰反射じゃなかったら夜空はもっと地味だったかもしれません。
そうなれば地球人もさほど月に興味を持たなかったかもしれないですよね。
うさぎがお餅ついてるなんて言い出さなかったかもしれないし、
お月見だとか、月を見て変身する狼男だとか、そういった月にまつわるアレコレも生まれなかったかもしれません。
ほんと、月が再帰反射で良かったです。
著者は何となく『太陽を盗んだ男』っていう映画のタイトルを思い出したんですが、
「”月を作った”って、ベジータか!(笑)」という意見もありました。