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肌の色白さ・明るさとは何か?

Photo by Lara Muller on Unsplash

肌の色を研究について、多くの方が知りたいことは、「透明感」や「色白さ」といった印象を引き起こす要因は何か?ということではないでしょうか。
肌の透明感や色白さで悩んでいる方が多いのは確かなのですが、皮膚の何がどう違うと透明感を高く感じたり、色白に感じたりするのか?それらは未だ解明されているわけではありません。
私はこういったことも含めて肌の色の研究をしています。

今回は、「色白さ」についての研究の進捗です。2021年3月に開催された日本色彩学会 測色研究会 2020年度研究発表会にて発表した内容を紹介します。

肌の色の場合、見た目で感じる「色白さ」と「明るさ」はほとんど同じものです。
「何、当たり前のこと言ってるの?」と思われる方もいるかもしれませんが、肌の色以外の一般的な色では、見た目で感じる「白さ」と「明るさ」は違います。

一般的な色は鮮やかさ(彩度)が増すと明るく感じます。
しかし、肌の色は逆で、彩度が高くなると暗く感じるのです。

もう一つ、肌の色の見た目の感じ方で有名な現象が、赤みの肌よりも黄みの肌の方が色黒もしくは暗く感じるという現象です。

肌の色の「色白さ」「明るさ」の感じ方には何か特別なことが起こっているのでしょうか?

今回の研究で、これらの現象は「色の濃さ」の感じ方と同じ現象であることがわかりました。

染料や絵の具をよく使用される方なら感覚でわかるのではないかと思いますが、染料の量を増やしていくと、色は暗くなると同時に鮮やかになります。
このとき色は染料を増やす前よりも濃く感じます。
さらに染料を増やしていくと、色はどんどん暗くなりますが、あるところで、鮮やかさが減少してくすんで見えるようになってきます。
そして、その色の濃さはというと、やはり、最初の色よりもずっと濃く感じます。

つまり、色は、明度が低くなったときも濃く感じますが、彩度が高くなったときも濃く感じるのです。

色相によっても濃さの感じ方は変わります。
明度が高い色で比較すると、黄色に近い色色相環で言うとのほうが、青紫に近い色よりも、濃く感じる効果が高いです。つまり、肌の色くらいの明るさおよび鮮やかさの色で比較すれば、赤みの肌色つまりピンク系の肌色よりも、黄みの肌色のほうが濃く感じます。これは、肌の色に限ったことではなく、人間における普遍的な色の濃さの感じ方です。

つまり、肌の「色白さ」及び「明るさ」とは、目で見て感じる「色の濃さ」なのです。

皮膚には、ヘモグロビンという血液の色素やメラニンという色素が存在しています。これらの量が多いほど、肌の色は濃く感じます。この、濃いという感覚が、肌の色白さであり、明るさなのではないか、というのが今回の研究発表の内容でした。

「え~、やっぱり、何だか、当たり前のこと言ってない?」と思われた方もいるのではないでしょうか。
しかし、案外、こういった当たり前のことが見落とされて、違った解釈が進んでいたりするのが学問だったりします。
もちろん、私の仮設が間違いである可能性もありますが、今回の発表では概ね賛同を得られたと思っています。

「じゃあ、色白さは色の濃さだとわかったところで、化粧品ユーザーにとって良いことあるわけ?」となると思うのですが、それはこれからの研究進捗報告をお待ち下さい。

お知らせ

著者は、肌の色の研究をすすめる傍らで、研究結果に基づいた「肌の色を健康的に見せるメイク手法」を開発し、メイクアドバイスも行っております。ご希望の方はお問い合わせフォームよりご連絡ください。
現在は、コンサルティングより研究に重点をおいているため、クライアント数を絞って対応しております。施術までお待ち頂く場合がございますがご了承ください。